2016年01月29日
そこは真昼で思い出は微笑む 大原美術館コレクション
先週、始まったばかりの『はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション』へ行ってきた。

場所は国立新美術館。

岡山県は倉敷市にある大原美術館は、長年行ってみたい美術館の一つだった。
その理由はジョヴァンニ・セガンティーニの『アルプスの真昼』に会いたかったからだ。
これの絵は、祖父との思い出につながっている。
ずいぶんと昔のこと、新宿の百貨店の美術館へセガンティーニの『湖を渡るアヴェ・マリア』を観に行った。
帰省した時にその話を祖父にすると「セガンティーニならこれが好きだ」と蔵書から1冊を抜出し、開いたページにあったのが『アルプスの真昼』だった。
『湖を渡るアヴェ・マリア』は静謐に満たされた絵なのだが『アルプスの真昼』は陽光キラキラ。何て楽しそう。
「この絵は倉敷の大原美術館で観たんだよ」と祖父。
その画が掲載されていたのも、大原美術館の図録だったのだと思う。
この時から「大原美術館」と「アルプスの真昼」は自分の「いつか行くぞ!」リストに刻まれた。
しかし、この『アルプスの真昼』、スイスのセガンティーニ美術館に貸出されるほどの人気者。
倉敷に行っても常駐なさっているかどうか。
それが乃木坂に来てくれるのだから、これを逃す手はない。
開館時間の少し後の、お人が少しバラけた頃を狙った。
狙いうまくが当たり、ゆっくりと拝見できた。
大原美術館というと大原孫三郎と児島虎次郎の西洋美術のイメージが強かったのだが、日本人作家の作品、古代のオリエント、エジプト、中国の美術品や民藝運動作家の工芸品等幅広い。
また、これからの芸術家に対する支援活動など、単なる収集&展示活動だけでないところが、さすがだ。
「日本にあるのが奇跡」と言われるエル・グレコの『受胎告知』は今回の目玉の一つ。
受胎告知画のお約束は抑えてあるが、その構図、色使いは活き活きとして躍動感がある。
そして、そして「待ってました!」の『アルプスの真昼』!
やはり、明るくキラキラとして素敵。
本当に、会いに来てよかった!
でも・・・何だか、記憶の中の『アルプスの真昼』と違っている?
館内がすいているのをいいことに、何回も何回もも引き返して見直してしまった(混んでいる時は決して真似しないでくださいな)。
やがて「わかった」。
記憶の中の『アルプスの真昼』の中央の女性は「笑っていた」のだ。
しかし、何度見直しても、彼女は笑ってはいない。
どうしてこんな記憶の書き換えが行われたのだろう。

あぁ、もしかしたら、笑っていたのは、祖父と自分だったのかもしれない。
そこに『アルプスの真昼』があったから。
『はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション』は2016年4月4日(月)まで。
公式サイトはこちら。
国立新美術館のサイトはこちら。

場所は国立新美術館。

岡山県は倉敷市にある大原美術館は、長年行ってみたい美術館の一つだった。
その理由はジョヴァンニ・セガンティーニの『アルプスの真昼』に会いたかったからだ。
これの絵は、祖父との思い出につながっている。
ずいぶんと昔のこと、新宿の百貨店の美術館へセガンティーニの『湖を渡るアヴェ・マリア』を観に行った。
帰省した時にその話を祖父にすると「セガンティーニならこれが好きだ」と蔵書から1冊を抜出し、開いたページにあったのが『アルプスの真昼』だった。
『湖を渡るアヴェ・マリア』は静謐に満たされた絵なのだが『アルプスの真昼』は陽光キラキラ。何て楽しそう。
「この絵は倉敷の大原美術館で観たんだよ」と祖父。
その画が掲載されていたのも、大原美術館の図録だったのだと思う。
この時から「大原美術館」と「アルプスの真昼」は自分の「いつか行くぞ!」リストに刻まれた。
しかし、この『アルプスの真昼』、スイスのセガンティーニ美術館に貸出されるほどの人気者。
倉敷に行っても常駐なさっているかどうか。
それが乃木坂に来てくれるのだから、これを逃す手はない。
開館時間の少し後の、お人が少しバラけた頃を狙った。
狙いうまくが当たり、ゆっくりと拝見できた。
大原美術館というと大原孫三郎と児島虎次郎の西洋美術のイメージが強かったのだが、日本人作家の作品、古代のオリエント、エジプト、中国の美術品や民藝運動作家の工芸品等幅広い。
また、これからの芸術家に対する支援活動など、単なる収集&展示活動だけでないところが、さすがだ。
「日本にあるのが奇跡」と言われるエル・グレコの『受胎告知』は今回の目玉の一つ。
受胎告知画のお約束は抑えてあるが、その構図、色使いは活き活きとして躍動感がある。
そして、そして「待ってました!」の『アルプスの真昼』!
やはり、明るくキラキラとして素敵。
本当に、会いに来てよかった!
でも・・・何だか、記憶の中の『アルプスの真昼』と違っている?
館内がすいているのをいいことに、何回も何回もも引き返して見直してしまった(混んでいる時は決して真似しないでくださいな)。
やがて「わかった」。
記憶の中の『アルプスの真昼』の中央の女性は「笑っていた」のだ。
しかし、何度見直しても、彼女は笑ってはいない。
どうしてこんな記憶の書き換えが行われたのだろう。

あぁ、もしかしたら、笑っていたのは、祖父と自分だったのかもしれない。
そこに『アルプスの真昼』があったから。
『はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション』は2016年4月4日(月)まで。
公式サイトはこちら。
国立新美術館のサイトはこちら。