たまりば

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2014年01月09日

今年の干支読書

前々回の午年から断続的に続けているのが「干支読み」。
新年に、その年の干支の動物に関係する本を読むのだ。

今年は、以下の3冊。
今年の干支読書
『ふたすじの道・馬』 長谷川如是閑(はせがわじょぜかん)作。
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この作者の作品は、初めて読んだ。良くも悪くもしたたかに生きる人々の姿が描かれている。
今回のメインはその名も『馬』という短編集。
主人公は、騎兵出身で軍馬の調教に優れた少佐。今jは、軍縮の影響で無職の民間人。馬をこよなく愛している。そして、偶然、曲馬となったかつての愛馬アカツキ号と出会い、曲馬団に入って馬つかいになることを決断。
なんとも、スカッとするようなしないような一編だった。
これは馬への偏愛の物語なのか、それとも、馬への偏愛を通して「好きなことで生活が成り立てば、それぞ人生」という話なのか。
これに収録されている短編。『お猿の番人になるまで』(これ、申年に読めたな)は「そこまで、不幸せなのに、なぜにそうまで朗らかでいられる?」
これも「不幸に気づけないほど鈍感であるという、幸福の一つの形」と読むか「どのような状況にあっても、幸いを感じる強い気持ち」と読むか。
もう一度、じっくり読んでみないと・・・という一冊だった。

『アバターの島』 樋口修吉作
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こちらはもう何度も読んだ長編小説。
アバターとは実在した米国の競走馬。
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しかし、このアバターは作中で重要な役割を果たすものの、主人公が観る競馬中継のテレビにしか登場しないが、この馬なしでは、物語が動かないという、キーパーソン(キーホース?)。
物語も、ジャズ、競馬、陶芸がお好きならば、応えられない面白さだ。自分の場合、ジャズの好き度はそこそこだが、代わりに料理の楽しさが加わる。
この作品に限らず、この作者の登場人物は、傷ついていても、不思議にピュアな部分を感じさせる人が多く、読後感もさわやか。

『白い馬』 絵 東山魁夷 文・構成 松本猛
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これは、東山魁夷の絵を用いて、松本猛が文章をつけた上質なな絵本と言っていいだろう。
東山魁夷の白い馬の絵は、高校生の頃、博多駅地下に・・・えー、何と言えばいいのか、上等な絵葉書屋というか、名画の絵葉書、ポスターなどを商っているお店があり、そこで見かけたのが最初の出会い。
土曜日の午後など、友人と連れ立って、わざわざ博多駅のその店へ「馬」に会いに行き「これがいい」、「いや自分はこちらが好きだ」と姦しいことだった。
この本の表紙にも使われている『緑響く』は、魁夷74歳の時の作品だとか。蓼科高原・御射鹿池を舞台にしたこの画は、清澄な落ち着きを感じさせるものの、瑞々しい若々しさも感じさせる。
魁夷がこの作品を描くにあたって、インスパイアされたというモーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調第二楽章を聴きながら、ゆっくりとページをめくった。
『緑響く』については、東山魁夷館サイトのこちらのページで。
モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調第二楽章は、クラシック名曲サウンドライブラリーのこちらのページで聴くことができる。



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    Posted by エルダベリイ at 19:06│Comments(0)読む
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