たまりば

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2011年12月18日

本を季読 クリスマスシーズン

恒常的に本を読むのが好きな、というよりも手元に本がないと落ち着かなくなる「活字中毒症」の自分。
だから「読書の秋」という言葉に全く季節感を感じない。
しかし「この時期だから」と本を選んでみたくなることはある。

時は、クリスマスシーズン。
こんな本たちを、また読みたくなる。

水晶」シュティフター作
もともとの題名は「クリスマスの前夜」
あるクリスマス前夜、町の祖母の家に遊びに言った兄と妹が帰り道、雪の山に迷う。
この兄妹が主人公なのだが、彼らを迷わせ、隠し、しかし助け、村人から「よそからきた(町からこの村に嫁いできた)ひと」とみなされていた彼らの母を「いまは、(その)村の村人であった」とする冬のドイツの自然自体も主人公のようにも思える。
コーヒーはほとんどいただかない自分だが、これを読むと「ヤー、コンラート」と妹ザンナ気分で強いコーヒーを少ぅしすすってみたくなる。

飛ぶ教室」エーリッヒ・ケストナー作
物語はケストナーが真夏に「このクリスマスの物語を書き終えなければ、クリスマスに何もあげませんよ」と母親から脅され、延ばし延ばしにしていたこの物語を書いてしまわねば、という場面から始まる。
ケストナーらしい諧謔に満ちた物語の始まり。
主人公達は、寄宿学校で生活する様々な生い立ち、家庭環境、性格の少年達5人。自分の不動のお気に入りはひねくれ者で頭の良いゼバスティアン。彼には、御手洗潔(島田荘司作「御手洗潔シリーズ」)や榎木津礼二郎(京極夏彦作「百鬼夜行シリーズ」)系のエキセントリック名探偵の資質があるかもしれない。
そして彼らを見守る先生にも、辛い経験を乗り越え、それを若い世代のために正しく活かしている大人の魅力がある。

クリスマスプディングの冒険」(アガサ・クリスティー作)
表題作は名探偵ポワロが活躍する短編。
まえがきで作者自身が「わたし自身の好みを発揮させてもらっ」て、の子ども頃のクリスマスの想い出満載にしたミステリィ。イギリスの良きクリスマスの様子がいきいきと伝わってくる。
クリスティには異色だが、クリスマスを題材にした短編集「ベツレヘムの星」もよかった。

定番だが、ディケンズ「クリスマスキャロル」、O・ヘンリー「賢者の贈り物」、E.T.A.ホフマン「くるみ割り人形とねずみの王様」なども忘れがたい。

そして、今年の新読みは、
クリスマスの木
クリスマスの木」(ジュリー・サラモン作)
ニューヨークのロックフェラーセンター恒例のクリスマスツリー。毎年、その木を探すのは、同センターの造園管理部長。そして、その年のクリスマスツリーの候補になったのは、幼くして両親を亡くした一人の少女が「トゥリー」と呼び、修道女となった今も愛してやまない1本のドイツトウヒ。このトゥリーがニューヨークで最後に彼女に贈ったった贈り物は?ジル・ウェーバーの素朴な挿絵もこの本の魅力を一層高めている。



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    Posted by エルダベリイ at 22:08│Comments(6)読む
    この記事へのコメント
    私の場合、クリスマスが近づくと、定番の「賢者の贈り物」と「クリスマスキャロル」を、読み返しています。
    「賢者の贈り物 THE GIFT OF MAGI 」は、豊かでない若いカップルの心温まる物語。
    「A CHRISTMAS CAROL」は、ケチで生き抜いてきた老人の、反省物語。
    この主人の名 Scrooge (スクルジ-)は、英語で「けちん坊」「守銭奴」の意味にもなっています。
    Posted by ボブ at 2011年12月19日 10:07
    「クリスマスの木」を読んでみたいです。わが家では『急行北極号』が定番。『飛ぶ教室』はこの夏にルネこだいらでお芝居を見ました。『くるみわり人形とねずみの王様』の不思議さも好きです。
    Posted by chieko at 2011年12月19日 16:29
    >ボブさま
    コメントいただきありがとうございます。
    わーい。やはり定番読みの方、いらっしゃるんですね♪
    「賢者」は、髪の毛は伸びるから心配しなかったけれど、ジムの時計が心配で心配で仕方なかった子供心でした。
    「キャロル」は、アルバート・フィニー主演のミュージカル映画「クリスマス・キャロル」も良かったですよ。この原題はズバリ「Scrooge」。有名人枠ですね。
    Posted by エルダベリイ at 2011年12月20日 06:43
    >chiekoさま
    コメントいただきありがとうございます。
    「急行北極星号」は、初耳。ご紹介いただきありがとうございます。さっそく図書館に予約。定刻クリスマスに間に合うか?(ワクワクドキドキ)
    「くるみ割り」は物語が入れ子構造で、本当に不思議な感覚になります。
    Posted by エルダベリイ at 2011年12月20日 07:01
    クリスマスは終わってしまいましたが、アガサ・クリスティーの本を読んでみたくなりました。数年前の夏休みに「ナイルに死す」を読み、エジプト旅行をした気分になったことを思い出しました。イギリスの冬を味わってみたいです!

    ところで、下に認証の操作がないですね?
    Posted by タマヤータマヤー at 2011年12月28日 13:13
    >タマヤーさま
    コメントいただきありがとうございます。
    「ナイルに死す」懐かしいですー。と言いつつ、ほぼ忘れてる!年が明けて一層寒くなった頃に、暖をとるために読み直しますー。
    なお「認証操作」1、2週間前から出たり出なかったり神出鬼没状態です。あ、今は出ています(ミステリ~)
    Posted by エルダベリイ at 2011年12月29日 11:46
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