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2014年08月15日

8月15日という日

先月から、エーリッヒ・ケストナーを読んでいた。
随筆と詩集と伝記2冊だ。うち2冊は再読。


一般に児童文学者として知られるケストナーだが、第二次世界大戦中、反ナチを掲げながら、ドイツ国内にとどまり続けた。
執筆は禁じられ、著書は焚書、2度もゲシュタポに逮捕され、ドイツ敗戦直前には、ヒトラーが「道連れだ!」とばかりに抹殺指令が下さられるも、ぎりぎりのところ映画のロケ隊に紛れ込みスイスに逃亡し終戦を迎えた。

戦時下においても、別名で映画の脚本を書き「国家の異端審判は(中略)、その力で、正しいことだけでなく、まちがったことも行えるのです」、「ああ、時代は壊されてしまったんだよ」と精一杯の時代批判を試みた。大ヒットしたこの映画について、戦後、批判を行ったことは無視され、ナチスドイツの芸術の国際評価を高める手助けをしたと責められることになったのだが。

ケストナーが綱渡りのようにして生きたこの時代、政治はどのように動いていったのだろうか。
1933年1月30日、社民党ヒンデンブルグ大統領は、ヒトラーを首相にすることを認めた。単独内閣ではなく、充分にヒトラーを管理下に置けると考えてのことだった。しかし、ヒトラーはワイマール憲法を順守しているように見せかけながら、独裁政権への基盤を着々と固めて行った。
そして、1933年2月28日「国民と国家を守るための緊急例」を葉ぷし、ワイマール憲法基本法を実質上廃棄、反対派を自由に弾圧できるように法整備し、そして突撃隊、親衛隊は暴力をもって選挙干渉を行った。

あぁ、何だか、閣議決定で法律を作っちゃったどこかの国の内閣に似ているじゃあないか。
誰の言葉だか知らず、うろ覚えなのだが「戦争を始めるのは政治家、拡げるのは軍人、死傷するのは庶民」という言葉を読んだことがある。
100%庶民の自分、そんな原因で死傷するのは、ふるふるごめんこうむる。

1928年に刊行されたケストナーの詩集に『君や知る、大砲の花咲く国』という一編がある。
その詩は、こう結ばれている。

その国では自由は実らない。あおいままだ。
何を立てても、-きまって兵営になる。
君や知る、大砲の花咲く国を?
知らないって?まもなく知るだろう! 
(『ケストナー博士の叙情詩 家庭薬局』より)

そのあおいままの実は、きっと、苦く、痛く、悲しい味がすることだろう。

今回、読んだ本は以下の通り。

ケストナーの終戦日記―一九四五年を忘れるな

ケストナーの生涯―ドレースデンの抵抗作家

ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家

家庭薬局 ケストナー博士の叙情詩

  


  • Posted by エルダベリイ at 08:51Comments(0)日々の徒然