たまりば

地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾小平市 小平市

スポンサーリンク

上記の広告は、60日以上更新がないブログに表示されています。
新たに記事を投稿することで、広告を消すことができます。  

Posted by たまりば運営事務局 at

2012年03月13日

我が家の美少年-あるいは傷つけられしヒヤキントス-

ヒアシンスの花が好きだ。
これは、つらつら思い返してみると祖父母の思い出とつながっている。


古典の教師だった祖父は、とてつもなく本好きだった、読むのも、買うのも。
浴室、トイレ、台所を除く各部屋には本棚があり、他に書斎もあった。
小学3年になり、祖父は本好きだった自分に、その書斎の本を「これ読んでみるか?」と貸してくれるようになり、やがて許可を得れば借りてよいことになった。
ちなみに、最初に祖父が貸し与えてくれた本がファーブル昆虫記。小さいころから虫好きだった自分は、ワクワクして読んだが、その巻は「蜘蛛・サソリの巻」(昆虫じゃないしー!)。

その書斎の本で、最も繰り返し読んだ1冊が『世界神話伝説大系』の希臘・羅馬編。
希臘=ギリシア、羅馬=ローマなんて読めやしなかったが、希の字と馬の字が背表紙にある本を抜き出せば、開けちゃいけない箱を開けた女の人だのトロイの木馬だのが読めることを学習。

一方、祖母は花を育てるのが好きだった。
祖父が散歩がてら掘ってきた野草や、ゼラニウム、フリージア、ベコニア。
そして、秋も深まるころ始まりますのが「ヒアシンスの水栽培」。
毎年、容器を黒い紙で包むお手伝担当。
祖母が好きだったのか、あの頃は他になかったのか、早春に咲く花の色は決まって「藍色」。

あの「希の字と馬の字」の本では、神に愛されたゆえに命を失った美少年はヒアシンスの花となり、その花びらに「哀(ai)、哀(ai)」と書かれたとか。
その「哀」の字がまだ読めず、祖父に「あい」と読むと教わり、それが脳内でクレヨンの「あいいろ」の「藍」と混ざり、祖母が毎年育てた藍色のヒアシンスと結びつき、いまだにヒアシンスの球根を探す時は、藍色の花が咲くものを探している。


そして、今年咲いたヒアシンス。
つぼみがちょこっと出た時期に、よろけて転んで、手をついてしまったために、葉と花の先を傷つけてしまった。
一時はどうなることかと案じていたが、何とか葉も茎も伸び、花咲く状態となったのだが、傷ついた部分は回復ならず。
神話を地でいくかのような「哀」しい姿の満開に(ごめんね、ヒアキントス)。
  


  • Posted by エルダベリイ at 16:34読む